マックス×ビップ株式会社(鉄筋工事業者様)
マックスの鉄筋結束機をご使用いただいている企業様に、
鉄筋業界の働き方などについてお話しいただきました。
「ビップにフィットした人材が
会社を次の時代へと
つなげていく」
- 松本 勝 氏
- ビップ株式会社
なかなか若手採用が進まない鉄筋業界において、SNSを積極的に活用し、20代の採用に成功。さらに、外国籍(中国・ベトナム)の方を採用し育成。業界内でも難易度の高い特定技能2号の合格者を輩出。
そのSNSの活用の秘訣や現状の業界についてインタビューに答えていただきました。
とことん教えてあげられる
体制づくりをすることが大切
鉄筋業界で今、課題になっていることの1つに担い手不足があると思うのですが、御社は今年6名採用されたとのことで、その背景を教えてもらえませんか?
営業も積算も財務も人事も社長がまとめてやる体制って、中小の建設企業だとあるあるじゃないですか。ウチもずっと僕がやってきたんですけど、事業の拡大に伴ってリソースに限界を迎えてね…。人事と広報は別の適任者を探そうって動き出したのが始まりです。
昨年の12月に現担当者の大森が入社してくれてからは、実務はほとんど任せちゃってますが、戦略を練る時は自分も積極的に意見を出しています。採用のプロ、鉄筋工のプロ、お互いの得意とする切り口からアイデアを出し合うと、とんでもない化学反応がうまれることもあって面白いですよ
しっかり腰をすえて採用活動を行なったということですね。
採用した6人は全員20代で、高齢化まっしぐらだった会社の世代バランスを整えてくれました。同期入社がいることで相談しやすいし、一体感も生まれます。仲間とコミュニケーションを取って、時にはお互いの意見をぶつけたりというのが、仕事を楽しく続けるのに1番重要なこと。自分の息子たちが働いていることもあって、同世代の20代社員には親目線で接してしまうこともあります(笑)。
次に繋がる世代は会社の持続という観点からも非常に大切にしていて、さらに盛り上げていく仲間を増やしていきたいですね。
御社はInstagramやXといったSNSも積極的に活用しています。
さっき話した人事広報の大森がメインで運用しています。SNSは今まさに欲しい20代や30代がよく見ていて、ありがたいことに少しずつ効果が出てます。普通に暮らしていて鉄筋工事のことなんて考えないと思うんです。潜在層にも「意外と面白そうじゃん!」って思ってもらうためには、こっちから色々と発信し続けないと。
※InstagramはInstagram,LLCの商標または登録商標です。
※X(旧Twitter)」は、X Corp.の商標または登録商標です。
拝見しましたが、楽しさも交えながら業務がうまく伝わっていますよね。ただイメージアップだけでなく、職場環境も変えていかなければならない部分もあると思うのですが。
業界内だと早い方だと思いますが、2年前から完全週休2日です。やっぱり休日数って比較されやすいし、会社としても『決められた日数で結果を出す』って意識を高める必要があって。当初は苦労しましたが、試算を繰り返して、コスト増も価格転嫁できる部分で収まるように調整できました。
あとは、職長の権限下で休憩時間をフレキシブルに取れるようにしたり。会社をあげてそういう取り組みを続けていると、「こうなればもっと働きやすくなる」って、アイデアを社員が出してくれるようになるんですよ。そういうのが一番リアルでクリティカルな意見だったりするので、声が出しやすい職場環境づくりは大事にしています。
人材育成に関して、技術的な指導はどのような感じでやられているんですか。
主に鉄筋施工技能士の試験体を使うんですけど、それだけじゃなくて、臨機応変にモックアップを作って、今日は壁の横筋をどう付ける、どう段取りしてくみたいな。そういう指導をしていますね。
先ほど社長も若手を指導していましたね。
もともとバリバリの叩き上げですから。鉄筋加工、クレーン操縦、トラック配送、図面制作、なんでもやりますよ。本当はそういうことばっかりやりたいけど(笑)。
教えるためのリソースがないという課題を抱えている会社も多いですが、そこはどのように解決していますか?
技術を持った職人さんを自社で育て上げることがまず1つですよね。一流技術はもちろん、ビップのやり方、考え方が受け継がれないと意味がないって。彼らが年を取ったら現場に出ず、後輩の指導や教育に回れるシステムを作るという構想があって。本当の意味での生涯現役を実現させたいんです。いつか研修センターも作りたいですね。
ただ、どうしても現場で覚えることがほとんどを占める業種なので、結局はとことん教えてあげられる体制づくりをすることが大切ですね。
社員が育っても、それをどう評価するかも大変だったりします。
ウチは独自の評価制度を作りました。仕事のスキルを7段階に分けて、それを1つずつステップアップして、キャリアを積んでいくって仕組み。正しく評価することが、会社に長く残ってくれる理由にもなるのかなと。
独自の評価制度ですか!?
僕が全部評価項目を考えて、そのスキルに値段をつけて。それをもとに部長連中と一緒にヒアリングして、査定するというのをやってます。評価のやり方は社員が全部見られるんです。オープンにすることで、社員は目標が作りやすくなるし、正当な評価をされているかが一目瞭然。給料の額でもいいし、キャリアでもいいし、各々が目標を持って仕事を頑張れるのがうちのスタイルですね。
ちなみに御社は現場が全員正社員とお聞きしました。今は外部の人を使うことも多いと思うのですが。
昨今の鉄筋工事業界は「外部委託した方が安いから頼ろう」みたいな風潮が常識化されていますが、本来なら逆のはずなんですよ! 外注が自社施工より高くなるのは当然のこと。この状況ってとにかく価格競争で勝つために、仕方なく利益を度外視した業者が増えたことに問題があるんだと思います。
ウチは創業から全ての仕事を内製で一貫管理することを大切にしています。それぞれの工程が一蓮托生の気持ちで連携して、最高品質を届けることがブランドになるって考えです。責任の範囲は広くなりますが、自信を持って仕事ができるので、価値を下げることは絶対ない。そうやって積み上げた技術やブランドイメージって、他社と簡単に共有できるものではないはず。そういう観点でも自社施工こそがベストって考えになるんですよね。
ここにいたいというので特定技能2号を
取ってもらいました
御社で中国出身の方が、特定技能2号を取得されたということで、それに対しての考え方や戦略についてもお伺いしたいのですが。
余という男なんですが、彼は2006年にウチが実習生制度を使った時の1期生。とてもよく働いてくれたので、ずっといてほしいと思っていましたが、あの頃は滞在期間が3年、再入国は認められていなかったんです。それがオリンピックの関係で建設就労者っていう枠ができて。また働けるようになりました。
元々ウチは実習生に頼らずやっていく考えだったんですが、それにも関わらず、ここにいたいと言ってくれて、65歳まで頑張ると。あの子たちが、自分の目的を達成するために、ウチの会社を使うんだったら、2号を取ってもらうのがいいんだろうなと。今、ベトナムの若い子たちも7人いますが、鉄筋施工技能士の2級までは合格者が出てきています。おそらくあの子たちも2号を目指している状況で、頼もしいですね。
戦略として取ったというより、一緒に仲間として働くうちに2号になられたんですね。でも言葉だったり、習慣だったり、大変なイメージもありますよね。
中国の子は言葉が伝わらなくても、漢字で会話することもあるし、ベトナムの子たちは月4回先生を付けて、日本語の勉強をしてもらっています。それと、母国と日本の常識が違うこともあるので、日本で就業するならここは守ってほしいってことは伝えますが、基本は母国の文化を尊重しています。異文化交流として料理をふるまってもらうこともありますよ(笑)。
細かい技術を教えるのも苦労しそうですね。
でも現場の飲み込みが早い子って、日本語の覚えも早いんですよ。そういった子たちが日本人の先輩から学んだことを同じように周りに伝えてくれています。現場のようなひっ迫した状況だと、ストレスなく通じ合う者同士の方が教育はうまくいきますね。なので、できるだけ同じ出身国同士で一緒の現場に配属もしています。
今では日本人の職長1人であとはベトナムの子にしても大丈夫ですね。車の免許を取らせたので、現場まで行ってくれるし。職長が現場を外れなきゃいけないことがあっても、彼らだけで仕事が回ります。
ちなみに会社の評価基準というのは外国の方も同じですか?
給与体系などは日本人と同じものを適用していて、特定技能の子たちは差をつけています。近い時期に始めても1ヶ月で3万円とか違ったり、でもそこはきちんと説明できるように注意していますね。これができるからもらえるとか、たくさん給料をもらうにはどうしたらいいかって、サポートもしています。
特定技能2号取得を取得した中国出身
余伟建さんのひとこと
特定技能2号を取るのに会社から色々とサポートをしてもらいました。
特に大変だったのは鉄筋施工技能士の1級。学科が難しかったですね。やっぱり日本語なので…。日本語は最初、技能実習生で来ている時に勉強したんですけど、3年の期間が終って中国へ帰ったら、けっこう忘れちゃって(笑)。
でもこれで奥さんや息子を日本に呼び寄せることができるのでうれしいです。家族もすごい喜んでいます。この会社で長く働きたいですね。65歳まで頑張ります!
マックスの自動結束機は握れば
すぐイメージが湧く
現在、マックス製品を使われていますが、人材育成や現場での作業で役立っている部分はどういったものがありますか?
マックスさんの自動結束機は、「最大のメリットを更に最大化する」っていうんですかね。俊敏に動ける人に使わせると、ものすごく生産性を上げてくれます。細かい説明なしで使える入門編の道具としても優秀だと思いますね。僕らが使うハッカーって技術がいるんですけど、自動結束機は経験が浅くても、ある程度のレベルに到達してくれますね。
言葉がわからなくても使えるという事でしょうか?
握ったらもうイメージが湧くんですよ。鉄筋の交点に合わせてトリガーを引くと、ここの射出口からワイヤーが伸びで結束してくれるって。未経験の人でもすぐに理解できる設計じゃないかな。経験の浅い人でも一気に生産性を上げられるって、テクノロジーの真価じゃないですかね。他だったら最初は鉄筋を運ばせるんでしょうけど、ウチは積極的に自動結束機で縛らせて、感覚を掴んでもらってます。
我々の業界はみんな勤勉なんです
これからの鉄筋業界はどうなっていくと思いますか?
今回、法律がまた新しく作られて、しっかり稼げる業界に、そして現場環境も相当改善されていくのかなと。業界も昔と変わってきて、いい情報はどんどん共有していこうとなってます。ウチの会社もこうやったら若い子を採用できたとか、評価制度もどんどん使っていいですよって、言ってるんですよ。もちろん発信したところで、やれることやれないことがあるだろうし、1つのヒントになればと思っています。
鉄筋工事業はなくならない仕事だと思うんです。建物の中でも非常に重要な部分、人間で言えば骨ですよ。しかもその場の状況に合わせてオーダーメイドした施工が必要ですからね。そんなところに魅力や社会性を感じて盛り上がっていくと嬉しいですね。
最後になるのですが、鉄筋業界の変わるべき部分と、変わってはいけない部分を教えて下さい。
たぶん変わらなきゃいけないことばかりだと思います。鉄筋業界っていうより建設業全体のお話ですが、とにかく人を大切にしてほしい。馬車馬のように働かせて、数字ばっかり押し付けるような業界ではなくて、「この建物は俺が作った」「この数ミリのこだわりが俺流なんだ」とか、そんなのが全面に出てくれるといいですよね。でっかい建物を相手にしている業界なんだから、心も広くないと(笑)。
変わっちゃいけないのは勤勉なところ。お付き合いのある同業さんはどこも超がつくくらい真面目ですよ。建築基準法とか、建築学会が出してる設計図書は、しっかり頭の中に叩き込むぐらい勉強熱心。瑕疵担保責任が10年ついていたりしますし、法律をちゃんと勉強して、間違いない仕事を続ける。そこは変わっちゃいけないと思います。
僕はこの仕事をカッコいいと思ってるんです。血管が浮き出て、筋肉ムキムキのアスリートみたいなやつらが、汗かいて、必死になって働いてる姿って本当に圧倒されますよ。それは昔も今も変わらない。やっぱりカッコいいことしてるって自慢できるような仕事であることは最高の魅力じゃないですかね。
会社紹介
- ビップ株式会社
- 平成3年2月、静岡県袋井市にて設立
鉄筋工事、鉄筋加工販売、クレーン作業を行う
※取材日:2024年6月24日
インタビューMOVIE
ビップ株式会社で人事・広報担当されている大森詩音さんに若手の採用活動や
新入社員が働きやすい職場環境についてインタビューしました。
※TWINTIERはマックス株式会社の登録商標です。